弦楽器 Vivace

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夏のメンテナンスについてのご案内

2020.05.30

告知

これからの季節、湿気や暑さで音がこもったり、鳴りが悪くなったりします。楽器は可能な限り人が快適と感じる環境にて管理してください。(温度20~25度、湿度50~60%) 言うまでもなく弦楽器は自然界で生育した樹木を製材し乾燥させて、振動しやすいように薄く削った板を組み合わせた振動体です。例えば楽器の表面や内部に松ヤニやホコリが堆積した状態で、それらが周りの環境から湿気を吸収すると、湿気によって重くなった付着物で板の表面が謂わばブロックされた状態となります。湿気を拡散するため、エアコンの掛かった部屋でしばらく音を出していてもこれではなかなか湿った重みは抜けません。毎日弾いていても環境によって音の振動を大きく阻害する要因に気がつかないでいることがしばしばあります。音色的な変化だけでなく、機能的な部分に不具合を起こしていることもあり、その原因などを究明し、状況や状態を整え、必要に応じて緩んでいる状態の箇所は締め、固く締めつけられている状態の箇所は緩めることで、楽器に掛かった負荷を軽くし使いやすくします。
これからの時期に対応するため、以下の点を主にチェックし、メンテナンスさせていただきます。

- 魂柱、駒の調整によりしっかりと鳴るようにする。
- ペグが回しにくい、固いなどの調整
- 音合わせでギシギシ音がする、音程が合わない、などはナット、駒溝の調整を施す
- 雑音の点検、各部分の剥がれを接着する
- 毛替えにより弓の機能や音質を向上させる
- 表面、内部のホコリや汚れをクリーニングし湿気による影響を軽減する

必要に応じて弦交換、乾燥剤を入れていただくことなど、より良い管理の方法などのご提案をさせていただきます。

また楽器が長きにわたり湿気状態となりますと、湿気を含んで柔らかくなった板に張力が掛かり続け、変形、歪みが起こり、にかわが緩んでネックが下がって弦を押さえることができなくなるなど、消耗部分ではない楽器本体に影響が及ぶこととなります。以下のような状態のときは、これらのことが併発していることが多いので、時間と修理代がかさむことになります。

- ペグが全く回らない。(楽器が湿気を多量に含んでいる可能性)
- 駒が変形して大きく曲がっている。(適切な調整を暫くしていない可能性)
- 指板が剥がれてしまった。
- ネックが下がっていて弦が押さえられない。
- ネックが外れた。
- 表板(裏板)がブロックから剥がれてしまった。
- 板の真ん中の接ぎ合わせが剥がれてしまった。

このような状態の楽器は管理されていた室内環境なども楽器の状態に影響していることもありますので、改善点などもあわせてご提案させていただきます。お気軽にご相談、お問い合わせください。

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