弦楽器 Vivace

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Viola Clifford A. Hoing 1953年製作

2022.01.15

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Viola Clifford A. Hoing 1953年製作

独自のモデルで良質な材料と美しく正確なウッドワークに目を奪われるこの素晴らしいヴィオラはイギリスの製作家クリフォード A. ホーイング(1903-1982)が作りました。当時イギリスではライオネル ターティス(1876-1975)、ウィリアム プリムローズ(1904-1982)らヴィオリストが独奏ヴィオラの新たな世界を開拓する時期でした。
ホーイングもその時期に重なり、製作家としてヴィオラを製作するにあたり、少なからず影響を受けたのではと思われます。
Universal Dictionary of violin and bow makersによるとホーイング氏は弦楽器製作に携わる前はイギリスのアーツアンドクラフツ運動に参加していた彫刻家Eric Gill(1882‐1940)の下で彫刻家として活動していましたが、1935年に弦楽器製作に転向し、前職で得た木材の知識、木工技術を弦楽器製作に応用したと記述があります。特筆すべきはヴィオラに関して”彼は素晴らしいヴィオラを残し、それは十分なパワーと浸透力のある音で鳴り、その音を引き出すためにヴィオラに合った最良の材料を用いている”とあります。

Viola Clifford A. Hoing 1953年製作

ホーイングのヴィオラはオリジナリティに溢れており、ボディは球根型(bulbous body)とローバウツがかなり大きく作られた2タイプがあるようです。このヴィオラは球根型で、表板は均等でハーゼの入った木目、裏板は1枚板で作られ、全体的に丸みを帯びたヴィオラです。1949年にオランダで開催されたハーグ国際ヴァイオリンコンペティション1等賞を受賞して4年後の1953年に製作されました。

Viola Clifford A. Hoing 1953年製作

また長年にわたりヴィオラの研究論文をストラド誌に投稿したヴィオラの研究者でもあります。彼のヴィオラ製作に後世の製作者は大きな影響を受けました。
イギリスのBritish Viola Society のホームページにクリフォード・ホーイング”ヴァイオリン製作の芸術家”と題する記事があります。こちらにはホーイング氏の幼少時代、彫刻の道からバイオリン製作の道に入った経緯、その後の様々なエピソードが綴られています。www.britishviolasociety.co.uk/cli

Viola Clifford A. Hoing 1953年製作

こちらの手紙はホーイング氏から顧客に宛てたもので、手元にあるヴィオラの出来が良いので一度見てみないかと提案する内容です。
このヴィオラは412㎜ですが重さのバランスが良く,大きさをあまり感じさせないです。音は艶のある高音、無駄な部分のない中音、明るく響く低音、完成されたヴィオラの音を感じさせてくれます。このようなヴィオラが数多く世の中にあったら、ビオラの為の音楽がもっと多く作られたのかもしれません。

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